今のPSPが2/3の性能しか発揮できていない理由

後藤弘茂のWeekly海外ニュース

●動作周波数は333MHzではなく222MHzだった
 PSPチップは実はスペックの2/3のクロックでしか動作していなかった。今のPSPは、まだフルパフォーマンスを発揮できていないことになる。また、PSPのOSカーネルは32MBのメインメモリのうち、8MBものエリアを占有していた。これは、ゲーム機のOSカーネルエリアとしては、異例に大きい。


 3月中旬に開催された「GDC(Game Developers Conference)」では、PSPについて、これまで一般にはあまり知られていなかった側面が明らかにされた。SCEA(Sony Computer Entertainment America)は、GDCで「PSP Advanced Software Overview」と題したセッションを行なった。その中で、SCEAのMark DeLoura氏(Manager of Developer Relations)は、PSPハードウェアスペックのアップデートと、ソフトウェア層とツールの全体像を説明した。


 これまでの公式発表では、PSPのCPUコアの動作周波数はコンフィギュラブルで、最大333MHzで動作するはずだった。しかし、GDCでは、PSPのCPUコアは、現状は222MHzに制約されていると説明された。ちょうどスペックの2/3のクロックに抑えられていることになる。また、バススピードも、一昨年のスペック発表時の166MHz(帯域から逆算)から最大111MHzへと後退している。


 「CPUは333MHzまでのレンジがあるが、現状では222MHzにロックされている。バスは典型的にはCPUの半分(のクロック)なので、111MHzとなっている。CPUを333MHzまで引き上げると決定した時には、バスも166MHzまで引き上げられるだろう」とDeLoura氏は説明する。


 222MHzへのダウングレードは暫定的な仕様で、将来的には333MHzに引き上げる可能性があると示唆している。今後、65nmプロセスやそれ以降の製造プロセスに移行して消費電力が下がった段階で、333MHzまで向上可能にするのかもしれない。


 SCEAは、222MHzに制限されている理由を細かくは説明しなかった。しかし、この仕様変更が省電力のコーナーで説明されていることからもわかるように、低周波数化は電力節減のためであるのは明らかだ。PSPは、222MHzの現状で、1,800mAhのリチウムイオンバッテリで4〜6時間の動作と、ゲーム機として快適に使うにはギリギリのラインだ。そのため、CPU周波数をこれ以上上げて消費電力を増やして、バッテリ駆動時間を削ることができなかったと推測される。現状の半導体技術での現実解は、333MHzではなく222MHzだったようだ。