ビールとブランデー

http://www.mainichi-msn.co.jp/entertainment/game/gamenews/news/20060914org00m300068000c.html

 任天堂が14日発表した家庭用次世代ゲーム機Wii(ウィー)」は、初心者でも気軽に楽しめるように随所に工夫を凝らしたのが特徴だ。据え置き型ゲーム機で従来、主流だった高機能路線とは一線を画した。11月に先行発売するソニー・コンピュータエンタテインメントSCE)の「プレイステーション(PS)3」は、最先端の次世代DVD「ブルーレイ・ディスク(BD)」の再生機能も搭載し、高機能路線を極める。戦略の違いが際立つだけに、年末商戦でどちらに軍配が上がるのか注目だ。


 任天堂岩田聡社長は同日の会見で、「どうすればゲームに関心のない人に使ってもらえるか配慮した」と語った。価格を2万5000円に抑え、インターネットに接続して最新の天気情報やニュースを見られる機能も付けた。Wiiを使うきっかけを増やすためだ。


 過去の人気ゲームを利用できる仕組みにしたのも、かつてのゲームファンに、戻ってきてもらうのが狙い。携帯型ゲーム機「DS」の大ヒットソフトで、大人のゲーム初心者を呼び込んだといわれる脳トレーニングのソフトもWii用に制作する予定で、初心者取り込みを徹底する。


 対するPS3は、超高速の演算処理速度を誇り、映像は実写並みの高画質。BD規格の映画や音楽ソフトの再生など、多様な楽しみができる。ただ、BDの部品不良によってPS3は量産が遅れ、発売当初の出荷台数が国内10万台と、PS2の発売3日間の約100万台を大幅に下回る。


 ゲーム専門誌出版社「エンターブレイン」の浜村弘一社長は「Wiiが友達とワイワイ飲むビールなら、PS3は夜一人で飲む高級ブランデー。今年の年末商戦は価格と出荷台数からWiiが上回るだろうが、PS3は約10年間は売れるだろうから5〜10年後の評価は語れない」と話している。【遠藤和行】