ドラゴンクエスト9はDSへ

http://eg.nttpub.co.jp/news/20061213_02.html

これで終了か、という空気が会場内に流れる中、やはり真打ちは用意されていた。スクリーンに「DRAGONQUEST IX」の文字が現れ、さらに映像が引いてニンテンドーDS Liteが映し出されると、会場からはどよめきが。ファン待望のナンバリングタイトル最新作、『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』は、ニンテンドーDS向けに発売されるのである。据え置き型の次世代ハードが出揃った中、DSを選んだ理由として、「僕自身、ネットワークゲームにすごく興味があったんですが、サーバの問題とか接続設定とか、一般の人にはまだまだ敷居が高いと思うんです。でも、DSであればスイッチを入れるだけでネットワークにつなげる。家族や友達、恋人と簡単に一緒に冒険することができます」と述べた堀井氏。実は約1年前から制作に入っていたとのことで、そのスタッフであるお馴染みのすぎやまこういち氏と、前作『VIII』に引き続き開発を手がけるレベルファイブ代表取締役社長、日野晃博氏が登場。それぞれ「音楽業界でゲームに一番強い男、ゲーム業界で音楽に一番強い男というのを守りたい」(すぎやま氏)、「『VIII』は見た目が変わったのに対して、『IX』は内容自体が変わりそうなので、一ファンとしてもすごくワクワクしている」(日野氏)と述べていた。

発熱地帯: 正しすぎる決断

あまりにも正しすぎる決断ゆえに予想外でした。

  • 据置→携帯シフトが進んでいる。据置ゲーム機に未来は無い。
  • 国内のPS2市場が急速に縮小している。
  • ドラクエファミコン世代=団塊ジュニアと共に歩んできた。この層が支持しているのはDS。
  • ファミコン世代の高年齢化にともない、腰をすえてRPGを遊ぶ時間が取れなくなっている。すきま時間に進めていくという点で携帯ゲーム機が有利。
  • 据置ゲーム機の競争のゆくえは読みづらい。ハードメーカーの競争にソフトメーカーが巻き込まれるべきではない。決着がついても、台数ベースで前世代を下回る可能性が高い。
  • どうぶつの森』のように据置から携帯に移行することで、「1家に1本」から「1人に1本」へ売上を拡大するチャンスがある。
  • ドラクエ8でオフライン型RPGの1つの完成を見たドラクエが次にネットワークを志向するのは自然。
  • 日本最大のオンラインゲームプラットフォームは今やDS(ライトユーザーの数、ボイスチャット標準、ローカル無線通信でネット環境が無くても近い遊び方が可能)。
  • 日本最高のクリエイターの1人(堀井雄二氏)がゲーム2.0と呼ばれる、昨今のゲームデザインの変化に疎いはずがなかった。
  • 日本で和製RPGを始めたのがドラクエなら、和製RPG2.0を始めるのもドラクエ
  • プロセッサ性能至上主義が崩壊した。
  • 北米でも携帯ゲーム機市場が拡大していて、トップシェアはDS。

以上のように正しい理由はいくらでも挙げられます。圧倒的に正しい。しかし正直、スクウェアエニックスの経営陣にここまで正しい決断ができるとは思っていませんでした。ちょっとナメてました。ごめんなさい。って感じです。


この英断が国内のゲーム業界に与えるインパクトは大きいですね。
このブログを始め、じつに多くの人が「据置→携帯」シフトについて書いてきました。実際に市場が証明しました。けれども、まだ納得できていない業界人はいたわけです。しかしこの決断を前にしては、ぐうの音も出ないでしょう。


また「別に焦って決めなくても、1年ぐらいDSやって様子見しとこう」どころか、「あれ? このままずっとDSでもいいっすかね?」と選択肢が広がりました。ソフトメーカーの本気タイトルがDSで増えていく可能性がさらに高まりました。


据置ゲーム機への影響はある意味小さく、しかし絶大です。『ドラクエ』が特定のハードに発売されることで、シェア争いを左右する、という意味での影響はほぼ無くなりました。一方、『ドラクエ』が据置機から離脱することで、「ドラクエ本編がやりたいから、ゲーム機を買っている」というユーザーが据置機から離れていくでしょう。据置市場の縮小傾向に拍車がかかると思われます。