新型ゲーム機:Wii圧勝で任天堂“王座”奪還 「FF13」PS3巻き返しのカギに

http://mainichi.jp/enta/mantan/game/archive/news/2007/04/08/20070408org00m300016000c.html

 06年度のゲーム機国内販売台数がまとまり、注目された任天堂ソニー・コンピュータエンタテインメントSCE)の新型ゲーム機対決は、「Wii」が約195万台、プレイステーション(PS)3」が約81万台と、倍以上の差をつけてWiiの圧勝となった。任天堂は、スーパーファミコン以後、PSに明け渡していた家庭用ゲーム機の“王座”を奪還した。その背景と今後を占ってみた。【河村成浩】=販売台数はいずれもエンターブレイン調べ(3月25日現在)


 新型ゲーム機対決は、06年11月11日のPS3発売から火ぶたが切られた。ハイビジョンの超高精細映像、スーパーコンピューター並みの物理演算が可能なチップを搭載した“夢のゲーム機”として、約6万円(オープン価格、ハードディスク60GB)で販売された。初回出荷はわずか10万台。発売日は、各地の販売店ではパニック寸前の騒ぎになるなど売り切れが続出。インターネットのオークションなどでは一時、取引価格10万円を超える人気だった。


 一方のWiiは、リモコンをモニターの前で振るなど直感的な操作で、従来のゲームユーザー以外にも楽しめるというコンセプトで開発され、12月2日に2万5000円で発売された。初回出荷数は40万台弱とPS3の約4倍を確保し、PS3ほどの騒動にならなかったが、こちらも即日完売となった。


 両機とも、クリスマス商戦まで売り切れが続いたが、06年12月までの累計販売数はWiiの約98万台に対し、PS3が約42万台と、この時点で既に大きな差が付いていた。1年前にゲーム業界団体のCESAや各ゲーム雑誌が行った新型ゲーム機アンケートなどでは、PS3購入予定者が過半数を占めていた。なぜ全く逆の結果となったのか。


 最大の理由は、この1年の「ニンテンドーDS」の大ヒットが挙げられる。DSが女性や高齢者といったこれまでゲームをしていなかったユーザー層を獲得し、その流れが直感的な操作で、比較的価格も手ごろなWiiへと波及。売り切れ状態は年明けも続き、毎週約6〜9万台の販売数を維持している。ソフトでも、人気タイトルの「ゼルダの伝説」を抑え、家族で楽しめる「Wiiスポーツ」が2月に100万本を突破、3月には「はじめてのWii」もミリオンを記録した。


 一方、高性能をうたったPS3は、その性能を実現する部品調達に遅れが出たため、当初から十分な出荷台数を確保できなかった。6万円以上という高価格に加え、ハイビジョン映像に対応するモニターがないと、十分に映像を楽しめないなどコアユーザーの需要が中心となり、年明けは毎週2〜3万台の販売にとどまった。


 ソフトでも10億円以上ともいわれる高額な開発費がネックで、十分なタイトルが供給できない状況が続いている。「ガンダム無双」(バンダイナムコゲームス)が登場した3月1週には、本体も週4万台を販売したが、「バーチャファイター5」(セガ)の発売された2月2週には本体の販売自体は大きな変化がなかった。


 「鬼武者」などを手掛けたカプコン稲船敬二常務が「新しいハードでユーザーは新しいソフトを期待している」と指摘するように、今後は、いかに独自のゲームを送り出すかがポイントになる。


 Wiiは、4月にマリオシリーズの新作「スーパーペーパーマリオ」や、DSで大ヒットした「脳トレ」系のソフト「Wiiでやわらかあたま塾」を投入。年内には、人気キャラクターの「マリオ」と「ソニック」が登場するスポーツゲーム「マリオ&ソニック in 北京オリンピック(仮称)」の投入を発表している。


 PS3では、最大の目玉となる「ファイナルファンタジー13」(スクウェア・エニックス)と「メタルギアソリッド4」(コナミデジタルエンタテインメント)がいつ投入されるかが、巻き返しのカギを握りそうだ。