久多良木会長が事実上の更迭

http://www.mainichi-msn.co.jp/entertainment/game/gamenews/news/20070426org00m300085000c.html

SCE久多良木会長が名誉会長に “PSの父”が一線退く

 ソニー・コンピュータエンタテインメントSCE)は26日、久多良木健会長兼SCEグループCEOが6月19日付で取締役を退任、代表権のない名誉会長に就任することを明らかにした。グループCEOには平井一夫SCE社長が就任する。プレイステーション(PS)を生み、SCEを世界一のゲーム企業へと導いた久多良木氏が一線を退くことになる。

 久多良木氏は93年、ソニーのグループのゲーム部門としてSCEを設立し、94年にPSを発売、任天堂の牙城だった家庭用ゲーム機に進出。00年にはPS2を発売し、計2億台以上を出荷、世界一のゲーム機に成長させた。06年11月に新型機PS3を発売したが、任天堂の新型機Wiiや携帯ゲーム機ニンテンドーDSに押され、苦戦を強いられている。

 久多良木氏は今後について「SCEを離れてさらに広いネットワークで加速していきたい」とコメントしている。

 2007年4月26日

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久夛良木さん退任後のSCE
さて世間ではソニーのゲーム機事業撤退説がささやかれていますが、それは絶対に無いと思います。少なくとも2〜3年という短期的な未来では無いでしょう。理由は3つあります。

  • PS3のコストダウンに成功して、かつ固定費を削減すれば、仮にPS3PS2ほどの成功には到らなくても、利益を出すことは可能。PSPはもちろん、PS2も今後も収益に貢献できる。
  • 日本ではXbox360がまったく普及してなく、欧州でもそれほど勢いがある訳ではない。一方、PlayStationは日本、欧州では強い。つまりワールドワイドではPS3Xbox360は良い勝負に持ち込める可能性があり、そうなれば次世代に充分繋げられる。Wiiに関しては、そもそもハードの方向性が全く異なり、将来的には脅威ではない
  • ブルーレイディスクの一般ユーザーへの普及に欠かせない。DVDの時よりもPSにかかっている役割が大きい。


上記の推測が当たっているなら、今後のSCEの舵取りは予想しやすくなります。おおよそ以下のような施策が予想されます。

  • PS3の急激なコストダウン
  • 半導体のFabの売却
  • 利益を挙げていない部門のリストラ
  • より売れる(利益に貢献できる)内製ソフトの充実
  • Xbox360に対して明確なアドバンテージをアピールしていく(ワールドワイドで均等に売れていることなど)


ワールドワイドでXbox360と五分にやり合う、と言うのも充分難しいミッションですが、ある程度の現実味はあります。


■懸念されること
ただ今回の人事で、ソニー本体にとって今後の舵取りがしやすくなるという点ではプラスですが、それは当のSCEにとっては、必ずしもプラスの側面ばかりでは無いだろうと思っています。もちろんプラスの部分もあると思いますが、やはりゲームソフトに愛を持っていない人たちが舵取りをしても、それはユーザーに響かないと思うのです。それが一番懸念されることです。


特に直接の競合相手となるマイクロソフトですが、巨大なキャッシュフローに目が行きがちですが(もちろん初代Xboxではそれが無ければ既に撤退済みだと思いますが)、それ以上にキーマンにゲームの理解者が多いことが競争力の源泉になっているのではないかと思います。そうでなければ、Xbox Live!をここまで育てることはできなかったと思います。そもそもDirectXというミドルウェアを練り上げてきたバックグラウンドがありますから、当然と言えば当然なのですが。


久夛良木さんも、ハード寄りではあったものの、ゲームという文化そのものに対して理解があったのが、実はSCEの大きな強みだったと思います。もちろんそういう意味では平井さんにも期待できるのですが、平井さんではソニー本体のコントロールを受けやすくなるでしょう。まあ本社、子会社という関係なので当たり前と言えば当たり前ですが・・・。


現在のSCEは大変な苦境に陥っているように見えます。しかし、もし本当にソニーがゲームプラットフォーム事業から撤退する日が来るとしたら、それはPS3の躓きが原因ではなく、それに端を発して、ソニー内でゲームに対する共感、理解を失った時だと思います。まだSCEは本当の意味では躓いていません。もし躓くとしたら、むしろこれからです。