DS人気 止まらない


中日新聞(=東京新聞)6月30日付朝刊 経済面

DS人気 止まらない


 「品切れ中 次回入荷未定」−。任天堂携帯型ゲーム機ニンテンドーDS」と後継機「ニンテンドーDS Lite(ライト)」の人気が止まらず、2004年末の発売から二年半たっても品不足が続いている。家電量販店に在庫が残っていることはほとんどなく、インターネットの通販サイトではいまだに定価を上回る高値が付くなど、加熱とも言える状態。過去に例のない“DSブーム”はいつまで続くのだろうか。(吉田通夫)


発売2年半でも品薄


 DSは希望小売価格一万六千八百円。しかしインターネットの通販などでは、新品も中古品も一年以上前から一万八千円以上の高値で取引され続けており、二万円以上のサイトもある。人気なのにモノが少ないためだ。


 ゲーム機史上最速で売り上げ一千万台を突破し、今年三月末までの国内出荷台数は一千五百万台を突破。二十年以上前に大ヒットして家庭用ゲーム機のパイオニアになった同社の「ファミリー・コンピュータ(ファミコン)」は千七百万台を達成するのに五年かかっており、二倍の早さで普及している計算になる。


 多くの家電量販チェーンでは予約を受け付けておらず、「ただいま入荷しました」と緊急アナウンスが流れ、運良く店舗にいれば購入できる。ある量販店の担当者は「週末に入荷することが多いが、時間は分からない。売り出せば、半日程度で完売する」と話す。


 ちまたでは「プレミア感をあおる手法で、ほしくない人まで『運が良い』と買ってしまい、本当にほしい人に行き渡らない」(電機メーカー関係者)と批判も出ている。


 販売予定日を新聞チラシになどで告知する玩具店もあるが、「ここまでブームになっているので、入荷したらすぐに売り出すのは自然なこと」(業界関係者)という見方もある。


 任天堂は問屋に対して、各小売店の過去の販売実績に応じて卸すよう求めている。このため「任天堂のゲーム機が売れていなかった五−十年前に仕入れてくれていた小売店には、小規模店でも多く入荷している場合がある」(同)という。


 任天堂は昨年、生産体制を月産百六十万台から過去に例のない二百五十万台に引き上げ、年末商戦を終えた後も維持しているが、それでも需要に追いついていない。岩田聡社長は四月の決算説明会で「いささか異常だと思う」と驚きを隠さなかった。


 ゲーム市場調査を手がけるエンターブレイン浜村弘一社長は「DSブームは昨年末で終息すると思っていたが、終わらなかった。米国や欧州でも火がつき始めており、もはや、いつ落ち着くのか想像できない」と語った。