E3 2004

http://journal.mycom.co.jp/articles/2004/05/13/e33/index.html

ターゲットが異なるPSPとDS

PSPとDSは、携帯ゲーム機というカテゴリーでくくるには、あまりにもタイプの違う製品だ。この2つが競合することはないのではないかと思えるぐらいだ。


PSPは、これまでのゲーム機にはない洗練されたデザイン、豊富な機能が魅力だ。直接のライバルは、ゲーム機ならば、Palm OS搭載ZodiacやN-Gageなど、ハイブリッド型携帯機器になりそうだ。これらはオリジナルのキラーゲームソフトがなく、ゲーム機としての機能の魅力が乏しい。また、PSPの最終的な機能次第では、iPodやPortable Media Playerなどのメディアプレイヤーとも比べられるだろう。


PlayStationの人気ソフトが移植されるので、コアなゲーマー層からも評価されるだろうが、むしろ携帯ゲーム機をこれまで持ち歩かなかった人に、本格的な携帯ゲームを広める存在になりそうだ。


DSは、今でも携帯ゲーム機を欠かさず持ち歩いているコアなゲーマー層から、すでに高く評価されている。任天堂は携帯ゲーム機で先行しているとは言え、GAMEBOY ADVANCEのままではPSPに対して厳しい戦いになっただろう。携帯機器の性能が目覚ましいスピードで向上している中、長い時間で見れば、コンソールの力関係が携帯ゲーム機に反映される可能性が高い。


だが、DSはPSPが実現できないゲーム体験を提供してくれる。その意味では、コンソールの力関係が及ばない大きな差をつけたと言える。大げさと思うかもしれないが、タッチスクリーンを使った「なぞる」「こする」「たたく」などの操作方法、2画面の情報量は、携帯ゲーム機だけではなく、これまでのコンソールゲーム機にもないゲームを体験させてくれる。


不安点を挙げれば、PictoChatという面白いコミュニケーションソフトを準備しているが、DSの市場はあくまでもゲーム市場に限られる。また、DSの登場によって、次世代コンソール開発で任天堂にはこれまでにないプレッシャーがかかったようにも思える。つまり、ゲーム一途の任天堂に限って言えば、スゴいスペックのハードウエアを出したり、パソコンと連携したりしても、それだけでは評価できない。DSと同様に、これまでにないゲーム体験をもたらしくれるかがポイントになる。つまり、Nintendo DSを体験した後では、コンソール版のDS(Developers' System)の登場を期待してしまうのだ。