PlayStation Home発表

watchman2007-03-07

ソニーPlayStation Home発表 - Engadget 日本版

SCE WWSフィル・ハリソン氏のGDC基調講演にて、プレイステーション3の新ネットワークサービス"PlayStation Home"が発表されました。


今年の秋から無料ダウンロード提供されるPlayStation Homeはいわゆる3Dバーチャルワールドで、プレイステーション3ユーザが自分の分身となるキャラクターを作成してほかのユーザと交流したり、市販ゲームの成果に応じて手に入るアイテムで自分の「ホーム」をカスタマイズできるというもの。3Dインタフェイスを通じたソニーのデジタルコンテンツ販売・広告プラットフォームという側面も持っています。


分かりやすく言うと「WiiMii(似顔絵アバター)とXbox Liveの実績システムをあわせてSecondLife風味にまとめ、YouTubeMySpaceをまぶしたもの」という事前の噂そのままになります。公開ベータテストは今年4月からおこなわれるとのこと。

http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20070309/gdc_s.htm

■ 今世代のゲームは「Game3.0」となる
 Sony Computer World Wide Studiosのフィル・ハリソン氏は、「今世代のゲームは“Game3.0”になる」と切り出した。Game3.0とは、今回ハリソン氏が使い出した新しいキーワード。「ソニーのトレードマークや広告キーワードにするつもりはなく、あくまで“象徴的な言葉”として捉えて欲しい。ソニー以外の立場の人間が使ってもらっても差し支えはない(笑)」(ハリソン氏)



 これはコンピューティングワールドがWebという媒体を介してインターネットの世界で構築されていく現象やコンセプトを象徴した「Web2.0」をもじった言葉に他ならない。「Game1.0」は、ディスクやカートリッジに記録されたスタンドアローンなゲームを個人個人が自分なりに楽しんでいくゲームの世界だとハリソン氏は定義。これは任天堂ファミコンに始まり、ソニープレイステーションまでの世界がこれに対応するという。


 「Game2.0」は、ゲームそのものはディスクなどの固定媒体から提供され、これらをスタンドアローンで楽しんだり、あるいはネットワークに接続して第三者と共有してプレイできるゲームの世界だとしている。これは、マイクロソフトXbox」、ソニープレイステーション 2」などの先代までの世界がそうだったという。


 「Game3.0」は、ゲームそのものが動的なコンテンツとなり、ネットワークを媒介して提供されたり、あるいはネットワークでそのコンテンツそのものを相互にやりとりしたり、そのコンテンツについてコミュニティを形成していけるタイプのゲームを指す。これは今世代のゲーム機のゲームの世界であり、マイクロソフトXbox 360」、ソニープレイステーション 3」の世界がこれに当てはまるという。

■ Game3.0、もう一つの形「Little Big Planet
 Game3.0を具現化したもう一つのプロジェクトとして「Little Big Planet」(LBP)も紹介された。「LBP」は、一言でいえば、「What You See Is What You Get」(WYSIWYG)ならぬ「What You See Is What You Play」(WYSIWYP)を具現化したもの。ゲームステージメイキングとゲームプレイを同一フェーズでリアルタイム実行してしまうユニークなシステムを採用しており、言うなれば「作ったそばから遊べるゲーム制作ツール」という表現が一番的を射ていると思う。


 「LBP」のゲーム世界は、現実世界の家の裏庭のような世界。物理法則も働いている。この世界に自分の分身となる、小さな縫いぐるみのような自キャラが出現する。丁度このスケール感は「ピクミン」に近いイメージだ。


 自キャラは、このゲーム内世界に任意の障害物オブジェクトを配置したり、落書きをしたりして、ゲームステージを作り込んでいくことができる。煉瓦や木の板を重ね合わせて積み上げてドミノ倒しのような仕掛けを作ってみたり、歯車やバネ、板などを組み合わせて、工作感覚で簡単な機械仕掛けを構成してみたり、とアイディア次第で様々なトラップを作り込むことができる。

■ Game3.0はPS3を成功に導けるのか?
 「LBP」は大変、ユニークなゲームであり、Game3.0コンセプトにマッチしたタイトルであることは間違いないのだが、技術的に凄い割にはゲームプレイで得られるカタルシスがあまり高くなさそうな点が気にかかる。ビジュアルやコンセプトは素晴らしかったものの、ゲーム性においてパンチ力が物足りなかった「LocoRoco」のような、「ゲーム開発者受けがよいタイトル」になってしまわないかがちょっと心配だ。「チャレンジング要素が地形トラップのみ」というのはやはりゲーム展開としては物足りない感じが否めず、最終的には敵キャラやボスキャラといったアクション要素や、やり込み要素を盛り込まないと「Game3.0」の要件を満たしていても「ゲーム」としてはもう1つ、ということになりかねない。


 「Home」も技術的には素晴らしいし、情報発信、情報取得、コミュニティ形成、ポータルサイト……といった今2DのWebでやっていることをPS3というハードウェアでリアルタイム3Dグラフィックスで行なってしまおうという発想はとんでもなく次世代的だが、これはゲームではないし、正直言って、PS3の購入動機にはなりにくい。むしろ「Home」は、既にPS3を購入したユーザーを他へ逃がさないタメのコンテンツ……という位置付けな気がする。


 「Wii」は新コントローラによるゲームプレイそのものの革新を目指し、「Xbox 360」は統合的なオンラインゲームプレイ環境の構築を実現し始めている。ソフトの充実度ではやや他の2プラットホームに劣るPS3としては、この「Game3.0」という新発想をスローガンにして、ゲームソフトの新しいスタイルやゲームとの新たな接し方を切り開いていき、「Game3.0体験はPS3でだけ」という実績を積み上げて巻き返しを図ろうと言う戦術自体に間違いはないと思う。やや厳しめな意見を述べてしまったが、今回の「Home」と「LBP」は、そのPS3というプラットフォームの進化の方向性を示す、その第1ステップ、序章であるということであれば、2007年以降のPS3のソフトウェアラインナップにはかなり期待が持てる。